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「崖の館」佐々木丸美 [読書]

年末年始にはじーっくりと、分厚い、重い、ちょっと怖い系の本を読みたくなるんです。
重くなってもすぐに日常に戻らなきゃいけないわけではないから、どっぷりはまれていいのかな。
京極夏彦さんとか、小野不由美さんの「屍鬼」みたいな感じの。
新潟に帰省するし、そうすると寒くて遊びに出る気もしなくなるから。

でも、今年はめぼしい本に出会えなかったんですっ!

図書館への登録が遅くなってしまったことも悔やまれる…。
ネットで予約状況を見ると、狙っていた本は100名以上予約待ち…

どーしよう。

そこで押入れの中から引っ張り出したのが、これ。

崖の館

崖の館

  • 作者: 佐々木 丸美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1977/01
  • メディア: -

ええ、随分古い本です。
手元にある文庫本も茶色っぽく変色してます。
多分、知っている人は少ないと思います。

昔、斉藤由貴さんが「雪の断章」っていう映画やったのをご存知の方なら多いかな…?
その原作者です。
実はこの映画は見てないんですが、斉藤由貴さんすごく好きで、高校生になった頃か、大学入ってからか、原作の「雪の断章」を見つけて読んだんですね。
で、はまった、と。
雪の北海道を舞台に、出生の秘密に縛られた孤児の少女と、年上の理知的な男性との恋、そして少女に受け継がれるという謎の遺産の話。
こう書くと、そりゃあ、夢見がちな頃は夢中になる設定な訳です。
でもね、よく考えると…
そんな境遇の少女が札幌には何人もゴロゴロしてんのかい!とか。
優秀な人材を「少女のお目付け役」なんて仕事に使うのかい!北斗興産!!とか。
まあ、今、思い返してみると「そんなバカな」の連続なんですけど。
当時は夢中で読んでいた訳ですよ。

そんな影響もあって、今月札幌に行った際、単独で雪の北大ツアーを敢行しちゃったんです。
で、なんとなく佐々木丸美さんを思い出して。

でも、「雪の断章」のシリーズは、その後の展開(似た話がズルズル続くし、年代も矛盾あるんじゃない?とか、あれ死んだよね?とか、考え出すとキリがないし、結局遺産てどうなるのさ、っていうところまで本を持ってないし、っていうか完結したんですか?)や、トキさんとの女の闘い疲れそうでパス。
で、選んだのが「崖の館」。

「館」のシリーズは仲良し従兄妹が、様似の崖に建つおばの館に遊びに行く話です。
でも、この館で次々事件が起きる、と。
主人公の末っ子涼子以外は女の子全員死亡ですか?という酷なストーリーは覚えてます。
これも美しく美しく作られた話なので、現実離れしていますが。

まあ、年末年始、現実から逃避するにはいいかなーなんて思ってます。

いやー、懐かしい。


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「私は男より預金通帳が好き」カン ソジェ著・吉原育子訳 [読書]

今、まだ読み途中なんですが。
私は男より預金通帳が好き

私は男より預金通帳が好き

  • 作者: 吉原 育子, カン ソジェ
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: 単行本
すっごいインパクトのあるタイトル!
韓国の放送作家・カン ソジェが、27歳で貯金がないことに愕然とし、それまでのショッピング大好き生活から一転。
株などではなく、3年で、しかも定期預金だけで1,000万円を貯めたという、すっごいエッセイです!
 
えええ~!?
そんなんで1,000万円貯まるの~!?
なんて、まさに半信半疑で読み進めてます。
韓国とは金銭感覚がちょっと違うのかな?と思うところはありますが、このカン ソジェという人の、貯金にかける執念(?)はすごい!
原稿料22万のうち16万を積立定期に充てようとするなんて、暴挙でしょう!
収入の80%以上ですよっ!
(しかも1人暮らしで、なんてちょっと考えられないです…)
 
わたしの世代はバブルがはじけた直後に社会人になったので、派手な買い物や生活に縁はなかったけれど、でも彼女の言う20~30代女性の公共の敵…「無節制と無計画」に耳が痛い思いです。
彼女のような気合の入った貯金方法は真似できないかもなぁ。
でも、自分の今の生活を振り返ってみると…
  平日はほとんど残業で帰りが遅いので友達と約束を入れることはできないし。
  買い物に行っても、欲しいものがないなぁと思って帰ってくることのほうが多いし。
会社では「めいさん、それは終わってるよ…」と言われる最近。
あ。それなら頑張れば、貯金できるかも。
 
なぁぁぁぁんて、ふとその気になりかけましたが。
無理無理。
だってサザンのライブに行かなきゃだしー、飲みにも行きたいし^^! 

で。
実は、この本を翻訳したのが、新潟とソウルを往復している友達なんですv 
出版された日に書店に行き、
「あのー、韓国のエッセイで、タイトルに預金通帳とかつく本、置いてますか~?」
と、店員さんに検索をさせ、店内を探させたわたし。
 
その後、売り場では他の本の上に移動させたり。
友達の名前の入った本が、書店に並んでいる光景を見て、ホレボレ♪
本屋さん、許してね^^ 

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「ダウン・ツ・ヘブン」森博嗣 [読書]

真っ黒な
澄んだ瞳。
その中に、
空がある。
そこへ
墜ちていけるような。

今回の装丁は曇り空でした。

ダウン・ツ・ヘヴン

ダウン・ツ・ヘヴン

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 単行本

「ナ・バ・テア」のその後。
大人の社会に踊らされるクサナギの姿が描かれている。
しかも今回はカンナミが登場!
彼が「少年」という表現されていることで、改めて「ああキルドレって子供か」と思わされる。
だって彼らは煙草も吸うし酒も飲むしクサナギは出産もしたし、親から自立して仕事をもっているから、人間のどの部分をとって、どの程度の子供だと想定しているのかなかなかつかめない(わたしだけでしょうか?)。

それにしても、ティーチャと「踊る」時のクサナギの、楽しそうなところが…スピードとスリルがあるだけではなく、刹那的というか…
うらはらに悲しく感じてしまう。

今回は、上司の甲斐が大人としていい味を出していたんではないかな、と思います。


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「ナラタージュ」島本理生 [読書]

「ナラタージュ」とは回想シーンという意味だそうです。
ナラタージュ

ナラタージュ

  • 作者: 島本 理生
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/02/28
  • メディア: 単行本

大雑把に言うと高校時代の先生との恋。
でも、そんな言葉は似合わない気がする。
きっと何かもっと違う…心に傷を抱えた人が、寄り添うような、すがるような、抱くような、そんな関係だったんじゃないかな、と思った。
高校卒業後、後輩たちの最後の舞台を飾るヘルプとして、演劇部OBが召集されたところから話は動き出す。
この前、ドラマか何かで「心に誰か住まわせている間は、他の誰かと幸せになるなんて無理」というような台詞があって、それってどうだろう?と思ったのだが。
この話の冒頭、「君の心にはいつまでもあの人がいるんだろう?だったら君の隣にいるのが僕でもいいかな、と思った」みたいな言葉があって、それってかなりわたしの思うところと近しい気がしてぐっと来た。

でも、小野君という存在のバランス感覚は好き。
後半はそのバランスが崩れて、もし友達の彼氏がああだったら「え~別れなよ~」と言ってしまいそうな行動をとったりもしたが。
彼の存在はとても現実味があるというか、「あり得る」と思った。
あんなきわどい恋愛をしている彼らよりも。

最後に、この長ーい恋愛話を、(多分、冒頭に出てくる彼に)残業中にちょっと手を休めて語って聞かせる場面があって…。
この話は「ちょっと」じゃあ話せないだろー、その程度の時間で語る内容じゃあ理解してもらえないだろー、と1人で突っ込んでました^^;
ま、そんなことは本筋とは全然関係ないんですが。


…まったく本とは関係ないのですが、本当は昨日、この記事を書きました。

でも、「よっしゃ、終わった!」と思ったら、SO-NET BLOGったら保存できずにアクセスできなくなっちゃって。
たいしたこと書いてるわけじゃあないのですが、書き終わった記事がものの見事に消えちゃうのは悲しいし、疲れちゃいます…

いつになったらいい環境になるのでしょう…?


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「天の前庭」ほしおさなえ [読書]

「ヘビイチゴサナトリウム」に続く、第2作です。
前回もタイトルにそそられたのですが、今回も「お?」と思って手にとってしまいました。
天の前庭

天の前庭

  • 作者: ほしお さなえ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2005/07/08
  • メディア: 単行本

主人公は事故に遭い9年間眠り続け、目覚めたときは記憶をなくしている。
(事故に遭ったときが高校生だったので、どうしても『少女が主人公』って言いたくなるんだけど…)

今回もネット上で展開する世界と、殺人事件。
タイトルは今回もサイト名だった、と。

で、更に今回はパラレルワールドとか、ドッペルゲンガー、タイムスリップ、アカシックレコードとSF的な要素もあり、現実を彷彿とさせるテロ、新興宗教、ドラッグと盛りだくさんな内容。
章の前に差し挟まれた、「崩壊した世界」での登場人物達が謎で、期待させる効果が高かったと思う。

「ヘビイチゴサナトリウム」の時には、主人公だけ蚊帳の外的な印象が強かったけれど、今回は事件の中心に主人公がいた気がします。
そそられる事象を連発している印象が強いですが、だから楽しめるというか、そんな感じでした。