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「いつかパラソルの下で」森絵都 [読書]

森絵都さんはとても好きな作家です。
「リズム」はもちろん、「DIVE!!」みたいなスポ根モノも、「永遠の出口」も好きです。
(1番印象深いのは「宇宙のみなしご」なんですけど)

で、今回は児童書ではありません。

いつかパラソルの下で

いつかパラソルの下で

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/04/26
  • メディア: 単行本

極端に厳格な父親の元で抑圧されて育った三兄妹。
反発した長男・長女は成人を機に家を捨て、従順に従った末妹は家に残り…そんな父が事故死してしまう。
そして明らかになる父の秘密!
父の足跡をたどり出す兄妹を、長女・野々の視線で描く。

・・・なんて書くとすっごい劇画調ですが・・・あまりに厳格で影響力が大きかった父親だから、三兄妹は父親を神格化してしまっていたんでしょうね。
父親だって人間。
ただの思い込みの激しい、最後に一花咲かせたおっさんだった、それを認めるまでの(母親も含めた)家族の父からの自立のストーリーと思っていいのかな?
自分がこんな人生を歩んでいるのは父親のせいでも、なんでもないのだから。
ふらふら享楽的に生きているような(実際、そうなのだけど)野々の恋愛も仕事も、すべては自分のものなのだから。

父親が嫌っていた故郷・佐渡でのコミカルな展開はある意味リアルかな、と。
暗い血だの何だの言っておいて、そんなドラマティックとは無縁で、のどかで気のいい雰囲気と、拗ねたような愛ちゃんがかわいかったです。

そして、「父親のことはやっぱり憎い」という結論に至っているのに、最後にはカラリと終わらせる森さんって、好きです!

そして、子供に「春日」「野々」「花」なんて素敵な名前をつけた「お父さん」のその気持ちに思いをはせずにはいられません。


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コメント 4

なんだか早速、書店へ行きたい気持ちになりました^^
そのような名前を付けるお父さんの愛情。。いいですね。
実は亡くなった最愛の父は、定年後はのんびり花屋でもしたい と言っていたのをふと思い出しました。
その願い叶わず42歳でこの世を去った父を。。
なので、父と子の何かに触れる事が出来そうな本だなって思ったんです^^*
素敵な本のご紹介、ありがとうございます☆
by (2005-05-24 09:30) 

めいさん

そうなんですか。
素敵な夢をもったお父様だったんですね。
いろんな家庭があって、家族があって、衝突したり様々なことがあって…
でも、このタイトルのように「いつかパラソルの下で」ビールでも飲みながら、笑いあいたいね、ってそんな気分になる本でしたよ^^
by めいさん (2005-05-25 14:00) 

tamayuraxx

めいさん さん、先日はわたしのブログにも来てくださって
ありがとうございました。
過去ログを拝見したところ、結構わたしと同じ本を読んで
いらっしゃるようで、嬉しかったです。
またTBさせていただきますね。
わたしもこの本は、厳格な父の呪縛に囚われた娘たちの
自立の物語だと思いました。
by tamayuraxx (2006-02-28 21:01) 

めいさん

tamayuraxxさん
ありがとうございますっ!
森絵都さんは児童書も好きですが、こういう本もどんどん書いてほしいです^^
by めいさん (2006-03-11 22:40) 

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