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「ブラバン」津原泰水 [読書]

このタイトルについ手が伸びてしまうのは仕方ない…!?

ブラバン

ブラバン

  • 作者: 津原 泰水
  • 出版社/メーカー: バジリコ
  • 発売日: 2006/09/20
  • メディア: 単行本

それは、わたしも高校生時代、吹奏楽部に所属していたから。(しかも、どっぷり)

1980年、高校に入学した主人公が思わぬことから吹奏楽部に入り、弦バスを弾くことになる。
彼は25年後、あまり流行っていない飲み屋をやっている。
本当に、自分ひとりが何とか食べていければいいか、という程度の。
そこに、1学年上の先輩の、結婚式でブラスバンド再結成の話が舞い込んだところから、話が進んでいく。
比較的時間に融通のきく彼は、かつての部員を消息を尋ねてまわることになる。
そこには、それぞれ幸せな生活を送るものや、思いがけない運命に流されているものも、それからもちろん連絡のつかないものもいて。
それらが、高校時代のエピソードというか、部活生活と織り交ぜて語られていく。

合間合間に音楽、楽器に関する彼の薀蓄が入る。
それが、彼の音楽オタクぶりを思わせて面白いし…それに、今でも音楽を愛しているのだとわかる部分でもあると思う。
まったく話の流れとは関係ないことだけれど、わたしは自分がかつてやっていた楽器について語られている箇所では涙が出そうになった。
あれは何なんだろう?
そうだよ、そうなんだよ!って。
この楽器、すごい楽器なんだよ、って。
裏打ち・裏メロ・ロングトーンが多くて、吹奏楽ではあまり目立たないけどさ、でも、なくてはならない存在なんだよね!って。
勝手に盛り上がってしまう。
あの、自分の楽器かわいさって、どこから沸いてくるんだろう。

曲目はわたし達の頃と若干年代が違うからか、うちのコーチの趣味なのか、あまり重なっていなかった。
わたし達の吹奏楽部はアルフレッド・リードの曲が多かったように思う。
「アルメニアン・ダンス(パート1)」、「ミュージック・メーカーズ」、そして「エル・カミーノ・レアル」などなど。。。
あと、みんなが盛り上がって好んで演奏したのはT.スクエアの曲。
「OMENS OF LOVE」、「TRUTH」、「宝島」。。。
う~、懐かしいっ!

なんて、自分の思い出まで引っ張り出しながら読み進める。
バンド再結成なんて、実際にはそんなに容易くなく、楽器から離れてしまっているものや、楽器・譜面の調達、練習場所の確保等々…そもそもいい年をした社会人を何度も集めるのは難しい。
そういった壁も描かれていて、再結成の夢物語と現実を見ることができる。

でも、再結成を夢と思わせる、そんな力がバンドにはあるんだろうな、と改めて思った。

前に読んだ、何かの小説の主人公の女の子が、吹奏楽部を「健全ないやらしさ」と評したことがあったけれど、それは本当に吹奏楽部をよく表している言葉だと思う。
その感じが、このブラバンにもよく出ていて。
バンドって、音を合わせるって、駆け引きするみたいな、それでいて調和して、気持ちは込めるけど冷静に見なきゃいけなくて。
あの密接感?連帯感?
それで、妙に濃い世界ができあがる。

ああ、懐かしかった。
わたしまで楽しいという一言では片付かない、バンドの夢が見られました。


この本の中に、「吹き真似はすごい上手い、まったく楽器が吹けない先輩」が登場し、主人公は先輩が吹き真似であったことを25年後になるまで知らずにいて驚いていましたが…
わたしは就職して4年目くらいに、吹奏楽部で集まった時に「実は譜面が読めなかった」と告白したら、みんなに「俺達は騙されてたのか!!」と嘆かれたことがあります^^;
はい。本当に譜面が読めなかったので、初見の時は吹き真似してました♪


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コメント 4

Lionbass

はじめまして。
コメントありがとうございました。
私のところと同じスキンですね。(私は1~2ヵ月おきに替えてます。)

とにかく、懐かしい本でした。
そういえば、私も、A.リードの曲、(もうちょっと古いですが)よく演奏してました。

これからもときどき覗かせていただきます。
by Lionbass (2007-01-19 07:12) 

がく

ども。
リードさんも昨年(だったかな?)お亡くなりになってしまいましたね。
オーメンズも懐かしい・・・。

元ブラバン少年・少女にはなんとも甘く切ない物語ですよね。

ちなみに自分は今でも市民バンドでclを続けています。
by がく (2007-01-19 20:12) 

めいさん

Lionbassさん
いらっしゃいませ♪
元・吹奏楽部員のツボを見事に押す本でしたよね^^

スキンはたまーに変えるんですけど、結局またこれに戻すことを繰り返している気がします。。。
by めいさん (2007-01-22 00:24) 

めいさん

がくさん
A.リードさん、亡くなっていたんですね。
この本読んで、懐かしくって検索して知りました。

市民バンド、やってらっしゃるんですね!
ちなみにわたしはリード楽器は鳴らすことさえできませんでした^^;
by めいさん (2007-01-22 00:27) 

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