「きみの歌が聞きたい」野中柊 [読書]
きらめく貴石たちに囲まれたお話でした。
語り手を変えながら5つの章からなっていますが、どれもビジューの名前。
ビジューとはフランス語で「宝石」のこと。
でも、それほど高価でもない天然石・珊瑚やパールをさすのだそうだ。
ビジューとはフランス語で「宝石」のこと。
でも、それほど高価でもない天然石・珊瑚やパールをさすのだそうだ。
幼馴染の絵梨と美和は創作ビジューのブランドを立ち上げ、街の雑貨屋やアクセサリーショップやカフェなどに置いてもらっている。
絵梨が作って、美和が事務や納品を行っている趣味の延長のような仕事だが、絵梨の住居兼アトリエでふたりは楽しくやっている。
美和は結婚しているので、利益は絵梨のマンションの家賃、生活費、アクセサリーの材料費、そしてふたりがささやかな贅沢ができれば、それで満足、そんな感じ。
美和は結婚しているので、利益は絵梨のマンションの家賃、生活費、アクセサリーの材料費、そしてふたりがささやかな贅沢ができれば、それで満足、そんな感じ。
そこに、ある時からミチルという少年が加わる。
彼はあちこちを泊まり歩いて、一箇所に居つくことがない生活をしている。
彼はあちこちを泊まり歩いて、一箇所に居つくことがない生活をしている。
全編を通して、心に痛い言葉が多かったと思う。
それぞれ異なる事情を抱えた3人が、それぞれ自分の居場所を探してあがいていたのではないかと思う。
夜の街をふらつく絵梨。
ルーティーンを守り続ける美和。
家無き子ミチル。
夜の街をふらつく絵梨。
ルーティーンを守り続ける美和。
家無き子ミチル。
それが絵梨の手から生み出される数々のきらめくアクセサリーたちに彩られているようで。
その硬質な手触りや、なめらかな温度や、光を受けて輝く様、そんなものまで見えるような気がした。
無機質なものだけど、人はそこに意味を見つけようとする。
その硬質な手触りや、なめらかな温度や、光を受けて輝く様、そんなものまで見えるような気がした。
無機質なものだけど、人はそこに意味を見つけようとする。
なんだか悲しかった。
切なかった。
切なかった。
でも、生きている人は、それを抱えて生きていかなくてはいけないのだと、そんなふうに。
なんだかやさしい気持ちになれそうな本ですね。
最近、女性作家からかなり遠ざかっていますが(笑)、
これは読んでみたいと思いました。
またステキな本を紹介してくださいね。
by lucksun (2007-01-13 23:55)
lucksunさん
わたしは女性作家から本を探す傾向があるかも^^;
こういう痛い言葉に出会う本を読むと、自分はちゃんと生きているだろうかって考えちゃいます。。。
by めいさん (2007-01-18 21:41)