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「北緯四十三度の神話」浅倉卓弥 [読書]

ラジオっていいなぁ。
北緯四十三度の神話

北緯四十三度の神話

  • 作者: 浅倉 卓弥
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 単行本

大学の研究室で助手をする菜穂子と、地元局のDJ和貴子姉妹。
普通に仲のいい姉妹に見える二人だが、どこかギクシャクしたものを抱えている…
和貴子の恋人であり、菜穂子の中学からの同級生である樫村の死、3年たっても和貴子はその傷から立ち直っていないよう。

ピンクレディーを二人で踊ったという仲良し姉妹の間に、微妙な距離が、どうしても埋められない距離がある。
中学生の時に両親を事故で亡くし、そこから二人はそれぞれ一人の人間としての道を歩き始めていたのだろう。
しかも樫村が亡くなることによって、それは新たな側面として二人の前に突きつけられる。

基本的には姉・菜穂子の視線で話は進むが、途中にはさまれる和貴子とリスナーの言葉のやりとりがとてもいい。
リスナーに回答する形で、和貴子は自分の気持ちを吐き出していく。
姉を自分の嫉妬や軽い憎しみの練習台にしてしまっていたの-。
なかなか言える言葉ではないと思う。
そのまっすぐな言葉に耳を傾けているリスナーの気持ちに、わたしまで同調していくよう。

一度もきちんと登場していないけれど、工藤君、とてもいい人なんだろうなって思えて、なんだか最後にとても安心できた。
それぞれの道を歩いている姉妹だけど、大人になって、いい関係をこれから築いていくんだね。


浅倉さんは不思議な事象を描くイメージが強いけれど、今回は雪の街のしんとした雰囲気がとても印象的。
この前、札幌に行ったせいか、余計に情景が浮かぶようでした。


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コメント 3

tamayuraxx

はじめまして。tamayuraxxと申します。
TBさせていただきました。
この作品は、おっしゃる通り北の街のしんとした空気が
伝わってくる作品でした。
この季節に読めてよかったなと思います。
by tamayuraxx (2006-02-26 14:36) 

めいさん

tamayuraxxさん
ありがとうございます!
身近な人にこそ伝える難しさが、とてもよく描かれていると思いました。
舞台が北国だと(というか北海道、しかも札幌だとわたしは思ったわけですが)、それだけでこちらの受け止め方も変わるのは何故でしょうね^^?
by めいさん (2006-02-26 23:53) 

花

はじめまして!TBさせていただきました。
和貴子の職業をDJの設定し、リスナーに回答する形で
気持ちを伝えているあたりは、とてもうまいなあと思いました。
この作品は、姉妹の感情が細やかに表現されていましたね。
by 花 (2006-03-07 19:47) 

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