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「金色の野辺に唄う」あさのあつこ [読書]

昔は浄簾と呼ばれる人が葬列の頭に立ち、葬送の送り唄を唄ったのだそうです。

金色の野辺に唄う

金色の野辺に唄う

  • 作者: あさの あつこ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/05/31
  • メディア: 単行本

柿が焔のように見える頃、1人の老婆が静かに息を引き取ろうとしている。
彼女・松恵の臨終は、とても穏やかそうに見える。

絵を描くことをやめてしまっていた曾孫の東真は、曾祖母の棺に入れるため柿の絵を描く。
松恵に珠を持っていると言われた孫の嫁の美代子。
どん底に落ちたときに松恵に食事をご馳走になった花屋の店員・史明。
父母のどちらにも似ない美貌を持って生まれた娘の奈緒子は、100本の竜胆で祭壇を飾る。

それぞれの耳元に、やわらかな言葉を残して。
それから、またそれぞれが新たな一歩を踏み出せるように。

人の心の奥なんてわからない。
自分の心が硬くなれば、余計に見えなくなる。
松恵自身の心も。

秋の風情と、静謐な死の情景と、白い菊の中に100本の竜胆、燃え上がるような柿の色。
「心優しいおばあちゃんが亡くなった」だけで終わっていない。
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橋蔵♪

訳あって、so-netblog内でお引越ししました。

ブログの内容は、まったくかわりませんが、
遊びにきて下さい。
by 橋蔵♪ (2008-09-21 06:24) 

めいさん

あら。
橘蔵♪さん、お引越しですか。
では早速遊びに行かねば♪
by めいさん (2008-10-06 01:07) 

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